精霊の守り人 [ファンタジー]
とても評判の高い「守り人」シリーズの1作目。
ファンタジーというと、
イギリス等の海外作品をどうしても思い浮かべがちだけど、
これは日本人の書いた日本人なら理解できて、
すんなりと入り込める物語だと感じる。
登場人物の名前こそカタカナで、
いわゆる「日本風」ではないにしても、
一つの「神」をあがめる宗教を信仰する国とは違い、
八百万の神が存在すると信じられていた日本の土壌に近い感覚。
主人公は、バルサという30代の女性で、生業は用心棒。
ふとした事から、命を救ったチャグムという第二皇子の
用心棒を頼まれるはめになる。
その皇子の体内には、
どういうきっかけなのか精霊の卵が宿っているのだが、
そんな状況を疎んだ父帝から命を狙われ、
更に、卵を狙う魔物からも命を狙われている事がわかる。
呪術師や、幼なじみの薬草師の協力を得て、
チャグムを守ろうとするバルサの戦いが描かれる。
元々は、児童書として出版された本だそうだが、
大人が読んでも充分に楽しめるということで、
漢字の量を増量して新潮社が文庫化したとのこと。
文章がさっぱりしていて読みやすく、
主人公が女性ではあるものの、女々しさはあまりなく
魅力的に描かれている。
他登場人物の設定も、いい加減な所がなく
読んでいてイメージが湧きやすい表現のお陰か、
読書中は、脳内で自由に動き回り始める程だった。
勧善懲悪といった表の部分だけではなく
裏の暗い部分もきちんと書き込んでいるところが、
大人も満足できる仕上がりになっているのかもしれない。
2008/02/09 読始
2008/02/13 読了
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